THE BURNING(邦題:バーニング)


最近立て続けに観た「血のバレンタイン」と「ローズマリー」は、どちらも「我が町」が舞台でしたが、この「バーニング」の舞台はキャンプ場。因縁話もそれほど昔の話でもなく*1、冒頭から殺人鬼*2の素顔を晒し、犯人探し要素もゼロ。「13金」2作目以降の流れに乗った、殺人鬼のキャラクター性に寄るポピュラーなスラッシャー映画の構造と言えるでしょう。
カメラはなかなか綺麗で、画面だけ見るとなんとなく上等な映画ですが、やっぱ最期の坑道内のシーンが全然駄目。「血のバレ」の坑道シーンもイマイチ*3でしたが・・・クラプシーさん*4、アンタ鈍重すぎ!ボート上での鋏さばきはどこいった!まったく、のそのそ動いてさぁ。そしてなんで最期に大鋏手放してバーナーなんよ!アンタ冒頭ハサミフェチに開眼したんじゃなかったのか!馬鹿馬鹿!キャラ立て狙った殺人鬼なら筋を通さんかい!・・・ま、設定的に自分が喰らったのと同じ火あぶりに・・・ってトコなんでしょうか、クラさん、目の前のにーちゃんがあん時のガキって気づいてないよねー?


と、扱き下ろすところはあれど、やはりここでもサヴィーニ先生の美技に注目しないわけにはいかない。
まず冒頭のオバチャン売春婦。退院直後のクラプシー氏がハサミというアイデンティティを確立する記念すべき脱・殺人童貞シーン。オバチャンの贅肉たっぷりのおなかにグサっと刺さるハサミ!絶叫するオバチャン!そこで、ハサミの突き立てられた贅肉が揺れる!・・・いや、そりゃ先の無いハサミを押し付けてるだけってわかりますよ?でもそこに「あえて揺れる贅肉」を同じフレームに収めるのが、リアリティをもたらしてますよねぇ・・・
そして、森での首裂きシーン。あの頃*5は稚拙だった俺のテクも今じゃこんなだぜ!見て見て!というサヴィーニ先生の声が聞こえるようなセルフ・リメイク。
で、極めつけ、誰もがあのシーンをモチーフにしたポスターの絵柄だけは覚えているという、筏上の大殺戮シーン!

突き立つハサミ!顔を庇った指をバサリ切断!そして、私にとって最も印象深いのが、悲鳴を上げる少女の額をハサミが薙いだ瞬間、悲鳴がピタリと止み、やがて額の横一文字から脳漿が溢れるシーン。ああ、頭って大事だなぁ・・・と子供心に思いましたよ。
それにしても、「ロズマリ」に比べると、サヴィーニ先生のゴアシーンの見せ方が大分変わった気がします。「ロズマリ」では過剰なほどじっくりと見せていたのに対し、特に筏の虐殺シーンで顕著な、スピード感のある短いカット割り。瞬時にたたみかける殺戮の速度に初見時の少年るしはは躍り上がって喜んだといいます。そこに、「ねえねえ見て見て!」という子供的見せびらかし精神から脱却した、ヲトナのサヴィーニ先生が窺える気がして、なんだかとっても感慨深いのでした。*6
そこらへん、特典映像でサヴィーニ先生本人が大いに語っているのですが、例によって英語の壁で理解かなわず。でも、先生がとっても嬉しそうなのはわかります。


あと、これは余禄なのですが、リック・ウェイクマン*7が手がけたスコアが、るしはにとって大好物だったりします。
特に、メインテーマである「Theme from The Burning」。このテーマだけでなくほとんどのスコアが劇中では「さわり」しか使われてないのですが、カッコイイんですよ。ま、確かにスラッシャー映画のBGMにしてはメロディアスすぎるので、仕方ないといえば仕方ないのですが。私にとってスラッシャー映画の音楽=「Theme from The Burning」。それくらい印象深いスコアです。


あと、これまた余禄なんですが、私にとって心のゲームの1本であるホラー映画をネタにした馬鹿ゲーDC「イルブリード」。そのゲーム内アトラクションである「死を呼ぶホームラン」、その元ネタが「バーニンブ」だったりします。*8

*1:「血のバレ」「ロズマリ」はどちらも数十年のスパンがありましたが、こちらはたかだか5年

*2:に変貌することになるただの親爺

*3:それでもゴアシーンが頑張ってたおかげで観れた

*4:公開当時、日本では何故か「バンボロ」さんを襲名させられたのは、何故だろう・・・まぁ、ジョギリみたいなもんでしょうが

*5:13金1作目

*6:まぁ、勿論監督や編集がカットしただけかもしれないんですけどね^^;

*7:元「YES」のキーボード奏者。まぁ私は「YES」と言われても「ナニソレ?」という洋楽オンチですが

*8:話の筋も、殺人鬼バンブロー(笑)の造型にも、素晴らしいリスペクトを感じたものですw