ウォッチメン

本来なら「感想」カテゴリで長々と書き連ねたいところだが、纏める自信がまったくないので短評で。
ちなみに原作アメコミは未読。アメコミヒーロー達のその後、つまり「現在」を描く物語・・・程度の予備知識で鑑賞。
 
ともかく、コメディアン*1のキャラクター。これに尽きる映画と言っていいと思う。彼が作品の全てを体現している。
そして狂言回し的役割のロールシャッハ*2もイイ。妥協を知らぬその姿勢はとてもとても格好良い。現実は妥協の連続だと誰もが知ってるだけに、彼の純粋さには憧れる。思わずザ・ストアー*3でロールシャッハ模様の手ぬぐいを購入。
他のヒーロー達も、興味深い「その後」を見せてくれる。
その結末もまた、コメディアンの生き様、そして「現実」同様の二面性がある。その結末に妥協できないロールシャッハは、机上に描けはするものの決して実現し得ない「理想」、そのものなんだろうなぁ。
 
3時間近いランタイムで、一瞬も退屈に感じなかったのは凄いと思う。
音楽の使い方も絶妙で、久しぶりにサントラ*4が欲しいと思った。
↓の「アイアンマン」短評で書いたが、従来のアメコミ映画との比較という観点で観ようとしていたわけだが、その試みは意味が無かった。これは実に嬉しい誤算。
本作に「ダークナイト」のような恐怖に近い緊迫感はない。が、そもそも「ダークナイト」があのリアリティを獲得したのは、アメコミから逸脱し徹底的に「現実」に擦り寄ったからで、アメコミを現実の誇張として描いた本作とは比較の対象にならないのだと感じた。
「アイアンマン」もそうで、純粋なアメコミ映画と、「アメコミを題材にした」本作は、同ジャンルのようでいて別物だし。
そういう意味では実に新しいアメコミ映画だと思うし、おそらくアラン・ムーアの原作コミックも、まったく新しいアメコミだったんだろうと思う。原作欲しいなぁ。
ちなみに、単純に個人的嗜好で上記3作でどれが好きかと問われたら、今は、「ウォッチメン」と答えると思う。
 
本作を観ながら、かつて創元SF文庫からリリースされた「ワイルドカード・シリーズ」*5を思い出さずにはいられなかった。
久しぶりに本棚から引っ張り出して読んでみようと思う。
 
あとやっぱりDr.マンハッタンのアレが気になって仕方ありませんでした。ビバ無修正!
さらにランタイムが伸びるというDVD版が今から楽しみでなりませんね。勿論購入決定デス。

*1:スーパーヒーローとしての名前である。本名はエドワード・ブレイク

*2:この人もヒーロー。本名ウォルター・コバックス

*3:東宝シネマズの売店

*4:歌モノを集めた盤と、スコア盤両方とも

*5:やはりスーパーヒーロー達のいる現実をif歴史的に描いた小説で、各ヒーローごとに筆者が違うという、一風変わったアンソロジー形式。メイン訳者、黒丸尚氏が急逝し、シリーズ半ばで翻訳が中断してしまったのが悔やまれる