「ワールド・トレード・センター」(原題:WORLD TRADE CENTER)

  • タイトルは「ワールド・トレード・センター」だけど、アメリカ同時多発テロ時のWTCを舞台にした群像劇、ではなく、倒壊したWTCに閉じ込められた2名の港湾局警察官に焦点を当てたドラマ
  • 群像劇を期待したので、そこはちょっと残念だったが、人物の視点を絞ったのは、序盤、貿易センタービル倒壊までの緊迫感に貢献している
  • ビルの足元で救援活動に従事する主人公たちは、当然何が起こったか正確には把握していない。*1しかし観客であるこちらは、これから彼らが入ろうとしているもう1棟にもじき旅客機が激突することを、やがてビル全体が倒壊するのを知っている。そこに時折響く異様な振動。不安に天井を見上げる登場人物たちも、まさかWTCが「崩れる」とは思いもせず救助活動を続行するわけだけど、こっちはもう「いつ崩れてもおかしくはない」のを知っている。ただ、こちらも、カメラがWTCの外観を映さないので、「その瞬間が何時か」はわからない、という怖さ
  • しかし、倒壊した後は、普通なんだよなぁ・・・あまり特色もなく、「映画」としては山も谷も少ない救助ドラマになってしまっている
  • そして何より、どのシーンよりも、劇中のTVに映される当時のニュース映像の方が比較にならないインパクトがあるのだよね・・・それを見た瞬間、「映画」の中身なんかどうでもよくなってしまう
  • あと、やっぱこういうノンフィクション映画で、メジャー・キャスト配しちゃいけないよね。ニコラス・ケイジみたいな濃い人は特に。彼の演技云々じゃなくね
  • というわけで、後半になればなるほど印象の薄い映画になってしまうのが残念
  • ドキュメント畑出身のグリーングラスが撮った「ユナイテッド93」も今度今度観てみよう・・・

*1:カメラも、彼らの見たもの、居る場所しか映さない