「Splinter」短評


お話はいたってシンプル。草食系眼鏡男子とグラマーさんのカップルが、マイケル・ダグラス似のにーちゃんと不健康そうなねーちゃんの無法カップルに車をジャックされ、ガス欠なのでガススタンドに寄ったらトゲトゲになっちゃった人に襲われて、すわ篭城!と、低予算亜流ゾンビ映画でよくある筋。
でも、面白かったー。
トゲトゲに感染した人体or死体の動きがたまらないです。コキコキ、ポキポキ、人体としてはあるまじき方向に曲がる関節が実に気持ちイイ。
「人間がおかしくなって襲ってくる」のではなく、「身体の中に入り込んだナニかが、その構造無視して人体を勝手に動かしている」のが上手く描かれているんですよね。
圧巻は片腕を侵食されちゃった某さんの指やら肘やらが関節無視してポキンポキン、ゴキンゴキンとあらぬ方向にじたばた曲がるシーン。某さんの悲鳴と熱演もあいまって、素敵なシーンになってます。
半分に千切れた掌が動き回るのも、「エイリアン」のフェイスハガーや「死霊のはらわた2」のアッシュの腕なんかを思いださてくれて和みます。
侵食したトゲが元気であることを表す、トゲトゲの「ビィーン!」て震えも、特徴的だし、新しい。
残念なのは、全身侵食された人間の全体像がハッキリ見えない。動きから「人間らしさ」を廃する為か、コマ撮り風の処理がされてたりするんですよね。それが、ほぼ夜間のシーンなので、ちょっと見難い。その分、リアリティやトゲトゲの実在感は保たれているんですけど。
あと、「全然怖くない」のは、人によってはマイナス・ポイントかもなー。私はびっくらかし*1が苦手なので、助かりましたけど^^;
「え?そこで逃げないの?」とか「腕切断したばっかのわりに元気」とかツッコミどころはあるにはあるんですが、久しぶりに魂のこもったB級ホラーを観れて、気持ちがホッコリしました^^
トゲを媒介にして死体と死体融合させたりとかもさり気なく描かれているので、是非スケール・アップした続編でトゲトゲ蔓延の地獄絵図を観てみたいところです。

*1:突然「ジャーン!!」って心臓に悪い演出と、その演出がいかにもおこりそうなじらし方の俺的総称。