「トワイライトⅡ」(上・下)短評

こうして原作を読んでみると、映画版第2作目「ニュームーン」*1が、いかに後半を圧縮してるかわかる。アリスが戻るあたりからの短縮具合がハンパない。
しかし、前半のベラの鬱っぷりは絶対必要だし、ジェイコブのクローズアップも今後の展開を考えると必須。映画でのこの取捨選択は仕方ないかー、と思う。
しかし、ファン心理としては、やっぱ映像で観たかったなぁ。だってさ、その取捨選択って、「=カレン家の出番大幅削減」なんだもんね。
アリスと再会したベラの喜びようは原作と映画じゃ天と地だし、当然原作の絵であるべきだし、アリスとチャーリーの会話も欲しかった。あそこには、一種のカタルシス*2があるからね。そもそも、映画じゃアリスがちょくちょくスワン家に遊びに来てたとか、全く描かれてないからなぁ。
ジェイコブがエドワードの電話に対して偽る展開も、ちょっと意味が違ってくる。映画だと展開が簡略化されてるおかげで『ジェイコブがエドワードにベラが死んだと思わせようとした』ようにしか見えないんだけど、原作だと単につっけんどんな対応しただけ。それが『エドワードの自殺』に繋がると気付いて、ジェイコブが青ざめるシーンもあるし、ベラ&アリスがフォークスを離れる際に、ヴィクトリアからチャーリーを守る役目を請け負うシーンもある。勿論、ジェイコブは「行くな」と懇願はするけれども、映画だと、どうも後半のジェイコブ株の暴落は気になるよね。
ジェイコブといえば、狼人間の「変わりたての若い奴はキレやすくて危険」という要素も、映画では薄かったな。サムの彼女の傷に集約されすぎていて、「単にポールがキレやすい」ようにしか見えず、その危険性がジェイコブにもあるというように見えなかったのは、ちょっと残念。
逆に原作にないプラスアルファ部分は、エドワードとヴォロトゥーリ護衛官のバトル。原作だと、まったくないんだよね。ジェーンの「ペイン」だけで。案の定、「ツレの彼氏に配慮しました」というアクション要素だったのねw
正直そこより、ヴォルトゥーリから放免された後の、ベラとエドワードの会話を増やして欲しかったかな。あそこ、かな〜り短縮されてるので。
ラストの求婚シーンも、ちょいと意味が異なるよね。プロポーズの衝撃より、原作では「吸血鬼の魂の可能性」の比重の方が重い。ジェイコブとの関係性も、映画だとまるでカタがついてしまったかのようだし。
ん〜、やっぱ映画は3時間くらい欲しかった!サミットにはむしろ「全部2部構成で映画化する」くらいの貪欲さが欲しかったな!そこはヴィレッジ・ブックスを見習っていこうよw
・・・って、なんかこれ半分映画版の感想だな・・・まぁ、しょうがないか^^;

トワイライトII 上 (ヴィレッジブックス)

トワイライトII 上 (ヴィレッジブックス)

トワイライトII 下 (ヴィレッジブックス)

トワイライトII 下 (ヴィレッジブックス)

*1:感想⇒http://d.hatena.ne.jp/rushiha666/20091212/1260583100

*2:ベラの苦悩が第3者によって証明され、エドワードのミス・チョイスがカレン家側にも立証される瞬間