「鉄男 THE BULLET MAN」短評


息子を「やつ」に殺されて・・・という前作「鉄男Ⅱ BODY HAMMER」と同様のコンセプトでいったいどんな内容になるのか、と期待半分不安半分で見たのですが、そういうの全部杞憂でした。いや杞憂というのとは違うか。そういう些事はどうでもよくなるくらい「映画に打ちのめされた」という感じ。
「鉄男TBM」、そのテーマは無印「鉄男」、「〜ⅡBH」と比べて丸くなっていて、それだけだったら塚本監督の成熟というか、老いというか、そういうものを感じたかもしれない。
しかし、表現は、映像そして音響*1は、より前衛的・・・という表現は軽いかな。暴力的?なくらいに強化されていて、無印→ⅡTBHの流からなんとなく想像していた「メジャーな映画的なもの」を完全に裏切ってくれました。そうきたか・・・!
ストーリー云々ではなく、まさに「体験」だった「〜TBM」。観るなら、絶対劇場で観るべき。余程の設備を整えていないと、「追体験」は不可能だと思います。
でも、「へ〜海外で有名なカントクさんの映画かー。観てみようか」てな感じで免疫のない彼女とか連れて行くと、悲惨なことになりかねませんのでご注意を。実際、「仮面ライダーみたいな改造人間の話だよ」(笑)と騙して連れてったrinrin子*2さんは、あまりに暴力的なキャメラと音響のダブルパンチに見事ノックアウトされてしまったのでした・・・合掌><
かくいう私も、結構疲れました。さすが監督自身が『上映時間はアバターの3分の1だけど疲労度は3倍』と言うだけあります。
 
映画のパワーに打ちのめされつつも気になったのは、「やつ」のこと。
今回「やつ」の立ち位置がかなり違うので、そこらへんはDVD発売後に再確認しようかな。ウチの環境じゃ「暴力性」はかなり軽減されるはずなので検証も可能でしょうからw

*1:TwitterのTLによれば、舞台挨拶のあった初日に監督自ら劇場の音響をいじったそうですよ

*2:特撮属性