アイアンマン(吹替え版)

劇場鑑賞は字幕版だったので、DVDでは吹替え版で鑑賞してみた。メインキャストは

トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)・・・藤原啓治
ローズ中佐(テレンス・ハワード)・・・高木渉
オバディア・ステイン(ジェフ・ブリッジス)・・・土師孝也
ペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロウ)・・・岡寛恵

藤原啓治が良かった。またいつものチンピラ演技だと、低音も魅力のダウニー・Jr.にゃ違和感在るしなぁ、なんて心配してたけど、なんだ、低音芝居もバッチリではないの。いやぁ、良かった。個人的には「ダークナイト」のジョーカー役でのサイコ芝居よりこっちを推します。
そして、なんといっても、岡寛恵のキュートかつクールかつ色っぽい声がたまらんです。バッチリです。
2人のパーティでの微笑ましいシーンの印象も、吹替え版でもかわることなく堪能させていただきました。
 
それにしても、つくづく、変身願望を胸に秘めるオッサンにとってのファンタジィだよねぇ、このお話は。
「ロッキー」観て「よし、明日から生卵飲んで走りこむぞ!」・・・と、まではいかない、枯れはじめた世代にとってのファンタジーなのだと思う。
トニー・スタークに降りかかる試練は、確かに生死の境を彷徨い命の危機に瀕するレベルなんだけど、その描写がさほど切迫したようには見えず、いささか軽めなのは、「いまさら苦労とか、疲れたくねぇなぁ」という世代には自身を投影しやすく、「そんくらいならやってもいいかな」と思わせるためじゃないかな。
その危機を乗り切る「天才」というスキル、そしてその象徴たるアイアンマン・スーツは、まさに「だったらいいなぁ」という夢の部分。
ペッパー・ポッツもそうだよね。理解ある美人秘書!しかも、本作で2人が深い関係にならないのも、「いまさらそういう人間関係構築すんのもなぁ」というオッサンの気質に配慮されてるからではないか?
しかも、一線を越えずとも心の中では通じ合ってるとか、実に都合が良いですよね。一種の浮気願望の充足と取れなくもない。
で、ラストの対決もあんまり盛り上がらず予定調和的に収束するのも、その対決が、夢想の「幕引き」として儀式的に必要だからで、勝敗の行方に手に汗を握りたいわけじゃないから・・・というのは、穿ち過ぎな見方ですかね?
 
ともかく、肩肘張らずになんとなく満足感を得られるこの作風は、続編でも維持してほしいところです。心に少年の部分を残す枯れはじめたオッサンへの、一服の清涼剤として。
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しかし、アメコミをひたすら現実に擦り寄らせた「ダークナイト」とは、まさに真逆の作りですね。
アメコミをドラマ(リアル)へと昇華した「ダークナイト」に、あくまでアメコミ(ファンタジー)の範疇に固執した「アイアンマン」。
ウォッチメン」前にこの2作を再確認出来たのが、鑑賞の手助けになればよいなぁ。
「ウオッチメン」は、原作からしてアメコミヒーロー自体を皮肉りかつ真正面からとらえた作風、という以外に予備知識はないので、原作との比較云々ではなく、最近のアメコミ映画の流れのどこらへんに位置するのか、ってところで観ちゃうと思うので。
あ、じゃぁ「シン・シティ」も観ておくべきか・・・「ウォッチメン」鑑賞前に観れるかなぁ・・・ちと微妙なタイミングだ^^;
※「アイアンマン」劇場公開時の感想(ねこめがね strays absolutely.)