「ターミネーター4」

客観的に結論づけてしまうと、「微妙だった」ということになる。
でも、俺は全否定は出来ない、いやむしろ・・・という、それぞれの理由を以下グダグダとネタバレ気味に書くので、以下は「続きを読む」へどぞ。勿論自己責任で。
記事のパーマリンクだとはなっからオープンされてるので要注意!
まずは、個人的に駄目と感じた点を羅列

サスペンスとしてなっていない

ターミネーター」が大ウケした理由の1つは、実にサスペンスフルであり、だからこそ他のSFホラーと違い多くの支持を集めたとのだと思う。
その点、T4は全然手に汗握らなかった

戦争映画としてもなっていない

「でも今回は未来戦争編だし」という言い訳を、私も事前に用意していなくもなかったのだけれども、実は全然戦争映画していなかった件。
機械軍団とレジスタンスの壮絶な会戦場面・・・を期待すると吃驚しますよ。ないからね!結局ストーリーの骨子は「ジョンとカイルを殺せ&守れ」だったりするのです。
これでようやく、ゲーム版「Terminator Salvasion」がガチの対機械軍団TPSだったわけがわかりました。巧く住み分けがされてたんですね・・・本編にそんなシーンがないから・・・
あと、レジスタンスの基地が結構おおっぴらだったり、空港が必要な航空戦力を持ってたりしたのに驚いた。まだスカイネットの勢力拡大の過渡期ってことかな?
あと、いくら潜入型ターミネーターを追うためとはいえ、秘密基地の近くでナパームもどきのドカーンドカーンかまして、よく機械軍団寄ってこなかったなぁ。後半のシーンだと、車1台爆破しただけでHKが飛んできたんですけど・・・といった粗も気にかかる。
あと、いくら言い争ってたとはいえ、ハーヴェスターの接近に気付かないのはいかがなものか・・・

T2劇場公開版とT3の轍を踏んじゃった件

つまり、ドラマ性が希薄。人間描写も、明らかに足りない。
「審判の日」すら知らない人間を、もっと訝しんでもいいんじゃない?
ジョン・コナーが何故皆の支持を集めているかの描写が無い。まさかT3のラストがそれとか言ったら怒るよマックG!
バーンズなんか、引き金すら引いた相手に対し、ラストまったく含むところがないのもなぁ。
そういう細かな人間描写がかなり削られているような気がします。そこらへん、T2劇場公開版の印象に近い。
そして、ロマンス要素がこれまた足りない。冒頭、キスで始まるから期待したのに!><正直コレがないと女性層の取り込みは難しいでしょう。ロマンス、しかも悲恋の要素が、T1大成功の一因だったわけだし。
マーカス×女医、マーカス×ブレア、と、発展しそうな要素はあれど、そこらへんはオチが全て打ち消してくれたし、肝心のジョンは既に所帯持ちなせいかそういうドラマはないし・・・
せめてジョン×マーカス的な腐要素でもあれば一部の層をなぁ・・・などと考えてしまう。しかし、腐要素抜きにしてジョンとマーカスはもうちょい絡ませても良かったんじゃないか。
それ以前に、ジョンとマーカス、2つの物語を交互に語るのには、このランタイムは短かったのかもしれない。
場面転換も後半は唐突さが拭えず、まるごと1都市が基地化しているような遠景を見せたスカイネット本拠地が、劇中ではえらく狭く感じました・・・だってみんなあっというまに中枢部に辿り着いちゃうんだもん・・・そこらへんは「エイリアン2」でのリプリーのニュート救出行を見習って欲しかった・・・

3部作構想の弊害なのか・・・

ケイトが展開的にほとんどいらない子だったのが気になった。これみよがしに妊娠してるのも、「あー、そういやT3で知事が子供さん大事って言ってたね〜」「じゃぁ、プロット的に今回ケイト&赤ちゃんは安泰ですな」と容易に予想出来てしまうので、そうさせない小細工が欲しかった。
逆に、ひじょうに「引き」が弱くもある。
スカイネットが既にカイル・リースを最重要対象として認識している」というあたり、もうちょいクローズアップして良かったんじゃないか。*1
ラストのオチもなぁ・・・結局今までと一緒かよ・・・という落胆があった。もうちょい、作品の路線すら揺るがすような大仕掛けを期待していたんだよね・・・「ええ!まさかそんな!」みたいな。だって思わせぶりに宣伝してたじゃん・・・
女医さんがしたかったこともイマイチ不明だし*2、そこらへんが伏線なのか単に描き足りないのかハッキリしないとこも消化不良気味・・・
「なるほど、これがT1に繋がるのか!」という面白さも少なかったしなぁ・・・新3部作の第1弾としては、とても「弱い」と思う。

カタルシスが決定的に足りない

後で述べるが、T4は実にオマージュに満ち溢れている。特にT1、そして「エイリアン2」への。それだけに、両作品に要所で私の胸を滾らせてくれたカタルシスが思い出され、翻って、T4のソレの物足りなさを意識してしまって仕方が無かった・・・あの興奮があればなぁ・・・

さて、悪い点をまずあげつらったので、次は良かった点を。
良い部分も勿論あったんです。欠点を帳消しにするほどじゃないけれど。

旧シリーズと「エイリアン2」へのオマージュ

上半身だけで追いすがるT-600に始まり、マーカスがカイルに尋ねる台詞とか、とにかくオマージュのてんこ盛り。
そして驚いたのは露骨な「エイリアン2」へのオマージュ。マックG、お前キャメロンにめくばせしすぎ!
おかげで、終盤のエレベーターのシーン、エイリアン・クイーンが出てくるかと焦ったじゃないか!(笑)

アントン・イェルチンのカイルはアリ

アリです。俺はアリでした。実にカイルしていて感動した!あと、喋れないけどターミネーターの接近を察知する少女を連れてるとか、なんとなく「エイリアン3」の「それはねーよ」展開なヒックスとニュートが生まれ変わったようで嬉しかった。
カイルとスターと、マーカスの絡みももっと見たかったなぁ。

マイケル・アイアンサイドが出ていた!

出演しているだけで嬉しくなる俳優っているよね!・・・いや、ホントそれだけなんです・・・すんません・・・

サム・ワーシントンが格好良すぎる件

実質、主人公。*3残念なのは彼の罪状がまったく明らかにされないので、彼の行動に完全に感情移入できないところか。おそらく彼の贖罪の物語、という意味でのSalvation*4なのだろうけど、彼の贖罪、あるいはセカンドチャンスを描くのにも、もうちょいランタイムが欲しかったところ。
ブレアとの淡いロマンスにも、ね。
ワーシントンはこの後も「アバター」やらリメイク「タイタンの戦い」やら出演作目白押しなので楽しみです。

久しぶりにCGスゲー!と思った

だって、あの知事!どう見ても若い頃の知事!あのクリソツさには吹いた。
ただ・・・あそこでT-800が1体だけ出てくるのもなんか唐突だよなぁ・・・あと、あの強力なパワーセルを搭載してるのって、T-850*5じゃなかったっけ?それともT-800にも搭載されてたの?プレス機や溶鉱炉でドッカンいかないの??
 
なんか最後にまた重箱の隅をつついてしまった・・・
重箱ついでに、最後にもう1つ。
ジョン・コナー・・・ここでもやっぱり他者の自己犠牲によって助けられる役割なのね・・・そこにちょっと、否、かなりガッカリだった俺・・・
そして某キャラの退場はあまりにも勿体無さすぎでしょ!!ばかばか!マックGのばか!><
・・・ま、ともかく。
欠点は山盛りだし、間違っても傑作とは呼べないけれど、一部のイイ部分をそのまま葬るには惜しい、そんな複雑な思いを抱かせてくれる作品です。
なので、個人的最終感想は、完全版*6が出ることを期待して保留とします。
あと40分くらい追加してくれると嬉しいかな!*7
 
↓ちょっと補足*8をUPしました・・・難しい男心をわかってくれ。
■「ターミネーター4」補足

*1:あと、あくまで「暗殺」ではなく「捕獲」しようとしていたところも気にかかる

*2:終盤の女医さんは女医さんじゃないしね

*3:やはりジョン・コナー脇役化の呪いは解けていなかったのか・・・

*4:「救済」の意。ちなみにT4の原題は「Terminator Salvation」

*5:T3のシュワ

*6:もしくはディレクターズ・カット

*7:それでも、マックGの平板な演出だから、T2の劇場版→特別編のような評価の180度転換は起こらないでしょうけどね・・・演出だけ見たらT3のジョナサン・モストゥの方が上だなぁ・・・

*8:というか言い訳