007慰めの報酬(原題:QUANTUM OF SOLACE)

旧来の007シリーズに近くなった印象。007シリーズにしては異例に観光映画的側面が少なかった「カジノ・ロワイヤル」は、その分ドラマと人物描写が濃密で、また、原作に忠実な筋*1の中に印象的なアクションシークエンスを盛り込もうという執念が結実して、その相乗効果が素晴らしかったのだけれど、「慰めの報酬」では、ドラマもアクションもかなり散漫になってしまったような。「カジノ〜」より40分近くも短いのに、逆に長く感じてしまったもんなぁ。*2
この落胆は「リビング・デイライツ」で喜んだ後に「消されたライセンス」で覚えた同種のそれに近いかな。締めのシーンの地味さは良かったけど、最後のアクションシークエンスの大味さは個人的には実に残念。ボンド・ガール、カミーユ*3も、前作のヴェスパー*4とは描写の深さに天地の差があるし。*5
ところで。オペラ「トスカ」の最中にクォンタムのメンバーが明らかになるシーンは実に良かった。個人的には「慰め〜」の中で1番ゾクゾクしたシーン。あそこがクライマックスだったら最高だったな。あとマティス*6が格好良すぎる。退場がもったいないキャラでした。逆にイェスパー・クリステンセンの続投は今後が楽しみですね。


最後に。私のベスト・ボンドは「カジノ〜」のダニエル・クレイグ。次点が「リビング・デイ・ライツ」のティモシーダルトン。そこらへんを踏まえていただければ、上記のような感想になるのも納得していただけるんじゃないでしょうか。

*1:賭けトランプしてるだけ

*2:「カジノ〜」は144分。「慰め〜」は106分

*3:オルガ・キュリレンコ

*4:エヴァ・グリーン

*5:まぁヴェスパーの描き方が特例中の特例だったのだけど

*6:ジャンカルロ・ジャンニーニ