13日の金曜日(2009年版リメイク)


13日の金曜日(原題:Friday the 13th)


イキナリ感想とは関係ないですが、私、この映画を観る時、体調がボロボロだったんですね。立って歩くのも辛くて、とにかく早く腰を下ろしたかった。ぶっちゃけ、おそらく公開期間がかなり限定されるであろうスラッシャー映画2本*1が同時期に重ならなければ、今週の鑑賞は諦めていたでしょう。そんな体調で鑑賞に臨んだわけですが・・・
観終わったら明らかに元気が回復してました^^;
いやぁ、リポDなんかより格別な元気を貰いましたよ、この映画からね!やっぱイイよね、スラッシャーは!っていうか、純然たるスラッシャーの日本での公開ってどんだけぶり!?嗚呼、劇場で観れた俺は幸せ者だよぅ。


とはいうものの、ちょっと残念な、惜しいリメイクではあったのですけどね。
(以下ネタバレいっぱいあるので鑑賞予定者は回れ右推奨)


ではまず、今回のリメイク版の特徴を箇条書きで。

  1. 1作目の内容というか結末を冒頭5分で処理
  2. さらにタイトル前の10分で2作目の内容をフォロー
  3. 妹を探す兄がメインなので、本筋は「完結編」か*2
  4. すぐゴキゲンな音楽が流れるあたりさすがマイケル・ベイ
  5. ご近所に認知されてるジェイソン。この田舎系要素の加味は新鮮
  6. ジェイソンのお宅訪問がより詳細に
  7. ザコン表現に新展開。これは2作目の変化球か
  8. ジェイソンの露見が意外に早いく、後半の展開は13金らしくない
  9. キッキッキ、マッマッマが冒頭のみで寂しい
  10. てかやっぱマンフレディーニのスコアがいいな、ってのは原理主義に過ぎるかな
  11. やっぱ鉈ズブズブにはかなわなかった件

さて、こっからはいよいよネタバレの嵐になりますので、ご了承くださいね?(覚悟完了の方は『続きを読む』にどぞ)
本作の新たな追加要素、「ジェイソンが母親似のおにゃのこを監禁している」「ヒックスプロイテーション*3系」
これが旧シリーズにない新鮮味と新たな広がりを与えている。しかし、反面その描写がちょっと半端なのが、私的に「惜しい」と思った点でした。


まず、ママ似おにゃのこを監禁している件。
これは2作目ラストでのヒロインによるボーヒーズ夫人コスプレの変化球なわけですが、監禁されていたそれなりの期間を伺わせる描写が皆無な点。例えば食事は?ジェイソンが与えていたとしか思えないけれど、何を?どうやって?あとトイレは?そもそもジェイソンのお食事は?と、いった具合に、ボーヒーズさん宅訪問シーンがそれなりにあるので、そこらへんが余計に気になってしまいます。
あと、ジェイソンは死体を回収しているのですが、その処理は?そこらへんの描写もなく、そりゃジェイソンに死体を調理して食えとは言いませんが、なにかしらの処理描写があれば、よりリアリティとおぞましさが増したのになぁ。


そして田舎怖い系要素。
近隣住民が明らかにジェイソンの存在を認識し、かつ黙認している描写。単に「あそこは縁起が悪い」というレベルから一歩踏み込んだ、なかなか興味深い要素でした。
しかし。
そうかと思えばそのごく近所の地元ピーポーがあっさり犠牲者になったり、そもそも今回のメイン犠牲者さん一行が夜を明かす別荘もその近隣であり、そこまで明確に「ジェイソンの存在を認識し、かつ黙認している」にしてはその後の描写が散漫です。ジェイソンはかわらず生家に腰をすえているので、近所にそれだけジェイソンが浸透してるなら警察もなんらかのかかわりがあるやも・・・なんて思ってたんですが、アッサリ犠牲者の仲間入りですからね・・・
単に、あのヴァーさんがボーヒーズ家に近しい、ってだけの話かもしれませんが。それだと・・・もったいないよねぇ。
いっそ、ようやく逃げ延び町に辿り着いた主人公を、逆鱗に触れるのを恐れた町民がジェイソンに差し出す・・・みたいな展開でもよかったかなぁ。ま、そうなると別物って言われちゃいそうですけどね。


あとは、ラスト。
やはり、「完結編」の鉈ズブズブにはかなわないですねぇ・・・まぁ、明らかに続編への目配せがあるので、明確にトドメを刺せないのはわかりますけど。その分、カタルシスは少なくなります。そこがちょっと、残念。


しかし、ある意味続編に期待が持てるラストではありました。
なにしろ、ジェイソンは「母親」を取り戻したわけですからね。そうすると、上で「物足りない」と不満を漏らした新要素が、続編では凄く生きてくる可能性がある。もし続編があったとして、この「母」と「息子」に焦点をあわせた物語になるとしたら、それはスラッシャーとしては変則的になるかもしれないけれど、「テキサス・チェーンソー・ビギニング」*4の様な毛色の変わった作品になりそうで、期待してしまいます。今回旧作の1〜完結編までを内包することによって、母子の関係性がより強まりましたからね。旧シリーズでは単なる素顔を隠すためのびっくらかしに過ぎなかった「仮面」も、本作ではどう考えても「母親による教育」にしか思えませんし。フリークスなお顔に耐え切れなかったのかなぁ?ジェイソンが死んだ*5時、それが自責の念となって悲嘆に拍車をかけ、彼女を狂気に導いたのかな?なんて想像すると、所謂「13金ブギニング」ってのも観てみたい気がしますしね。
・・・な〜んてのは全て気の早い妄想ですが、ま、それ以前に続編が作れるほど売れるかどうか、ですね。今回日米同時公開なので、アメリカでの評判や興行成績が聞こえてこないのがまたドキドキです^^;
本国では日本よりやる気のある配給してるといいなぁ・・・パンフレット作ってないとか、アリエナイでしょ><*6


そうそう、細かいことですが、散見された「13金っぽくないトコ」に、違和感があったなぁ。拒絶反応、とまではいかないですけどね。ちょっとした違和感。
例えば、旧シリーズに比べてかなり早期にジェイソンの存在が犠牲者達に認識される、とかね。ジェイソン襲撃の際、家に立てこもる面子が5人もいますから。
音楽関連でも、マンフレディーニのスコアとはがらりと変わってるので、ちょうど旧作を再見したばかりの私には違和感が大きかったです。恒例のキッキッキ、マッマッマが、劇中まったくかからなかったのも、残念でしたねぇ。スコアはまぁ仕方ないとして、アレは欲しかったかも。
そして、しょっちゅうかかるゴキゲンなロックやラップがwやっぱマイケル・ベイ。さすがにカーチェイスはなかったけど^^;


こんな感じで、若干の違和感と物足りなさを感じたリメイクではありますが、前述のとおりかなりの元気をわけてくれる作品ではあります。3作目同様、オマージュも盛りだくさんですしね!*7「新〜」や「ジェイソンX」、「フレVSジェイ」なんかより断然面白い*8ので、もし幸運にも近場の劇場でかかっているなら、お布施代わりに観てみると、私のようにご利益があるかもですよ!^^
いやぁ、スラッシャー映画って、ホントにイイものですね!
(しかし、体調を崩したせいで、『完結編』の再見前の鑑賞になったのは残念。『完結編』感想は近いうちに)

*1:もう1本は「ブラッディ・バレンタイン3D」ね

*2:トミーはいませんw

*3:田舎怖い

*4:無職な薀蓄パパが職に就き、息子が脱・童貞するオハナシ

*5:と思い込んだ

*6:初めてですよ、パンフレット作られない劇場映画にあたったのは><

*7:最後は絶対飛び出てくると思った人!って聞いたら、全員が「はい」って挙手すると思うw

*8:あくまで個人的見解ね